[SIJ: 22282] 新刊案内 キャサリン・マンスフィールドから100年

Atimoda atimoda.atmo @ gmail.com
2022年 7月 8日 (金) 12:42:18 JST


ターラ瞑想センター、アティモダです。

プラヴァンの新刊のご案内です。

ぜひご購読ください。


『グルジェフ総論:メソテリック キャサリン・マンスフィールドの生涯・作品と男と女の物語』



by 郷 尚文 Plavan N. Go



Amazonペーパーバック版 2600円、Kindle版2400円。ホームページにストアへのリンクがあります。



http://gurdjieff.la.coocan.jp/





<紹介>



キャサリン・マンスフィールドは、一八八八年十月十四日、ニュージーランドのウェリントンで、父ハロルド・ボーチャンプと母アニーの間に生まれた。

父のハロルドは、事業家として活動したのちに、ニュージーランド銀行に入り、のちに頭取となり、サーの称号を得て、七十九歳になるまで生きた。これに対し、母のアニーは、物語におけるように、度重なる出産で体を弱らせ、五十代の前半で世を去った。キャサリンは三女として生まれ、六人目にしてようやく生まれた男の子が、キャサリンといわば肉体を越えたた魂の絆で結ばれたレズリーである。

そのレズリーは、第一次大戦中に入隊し、訓練を指導中、手榴弾の暴発によって、三十歳そこそこの年齢で死んだ。一九一五年のことであり、これがそれまでにない熱意をもって、前奏曲』に始まる自身の生い立ちを扱った四部作をはじめとする作品群を書きだすことの契機となった。マンスフィールドは、レズリーの霊がこれを求めたと受け取ったようである。、おそらくは彼の魂の救済のため、七年後には自分も後を追う運命にあったマンスフィールドの魂の救済のためにもである。

こうして書かれた『前奏曲』、『入江にて』、『おもちゃの家』、『園遊会』、『風の吹く日』といった作品について、なつかしいニュージーランドでの子供時代の思い出を書きつづったというようなことがよく言われるが、とりわけそれらをマンスフィールドが望んだようにまとめてひとつの「小説」として読んだ後には、それだけのものではない、そんな生ぬるいものではないことは、だれにもあきらかなことだろう。

単純なノスタルジアを越えて、執筆の背景に強くうかがわれるのは、基本的に搾取的なものである〈生〉の本質、適者生存の掟からの圧力が強いところでも、もしかしたら人のなかに形成されるかもしれない内的な生命、おそらくどんな子供のなかにもあるであろうところのそれを成就に導くことへの願い、社会への順応や家族の仕組みのなかで容易に生じるこれをめぐる妥協、結婚・家族・生計といったこととの関係で人をやすやすと捕らえてしまう罠、それでもわずかな人がかいま見る内的な生命の世界と肉体を越えての存続の可能性、といったことへの思いである。

やがてみずからが結核にかかっていることがあきらかになり、間近に迫った死の自覚が強まるにとれ、こうしたことをめぐる感受性、そして内的な追求はいっそう鋭いものとなり、一九二〇年から一九二二年にかけての最後の二~三年における、特別に印象的な作品の集中的な執筆を経て、一九二二年十月十六日、フランスのフォンテーヌブロー=アヴォンの歴史的な城館であるシャトー。プリオーレに、最後になって影響を受けたというよりはむしろ、もともと人間観と世界観において重なりあうものを少なからずもっていたゲオルギー・グルジェフを訪ね、そこに開設されたばかりの学院での滞在を求めるに至った。マンスフィールドは一九二三年一月九日にそこで世を去った。



「おお、〈生〉よ! 私を受け止め、私を値打ちあるものとし、私み教えよ」

(マンスフィールドの日記より:1920年12月)

神聖なる歓び、神聖なる反発、神聖なる苦しみの
それぞれの源泉よ、
われらに力をふるいたまえ。

(グルジェフ:『ベルゼバブが孫に語った物語』第39章より)

本書は、マンスフィールドが世を去ってからちょうど百年がたつのを前にして、その生涯と作品を振り返ることで、〈生〉の見方とそれに対する姿勢、人間観と世界観における、このふたりの間での不可思議ともいえる重なり合いに目を向け、そこで浮き彫りとなる、〈生〉の現実、肉体と魂、男と女、結婚と家族、肉体を越えた絆といったことをめぐる、深く幅広い洞察と感受性から学ぼうとするものである。

〈目次〉

イントロダクション

第一章 生い立ちを背景にした生涯にわたる追求の出発点と子供時代を扱った作品の世界:『生まれた日』~『前奏曲』

第二章 南半球の海辺でのクリスマス前の一日の描写から浮かび上がる男と女と家族の十字架:『入江にて』

第三章 人間の集合的な営みと家族のありかたを歪める下向きの自然な圧力とそのなかで強化される借り物の自意識:『おもちゃの家』

第四章 二つの世界の狭間に生じた正真な自意識の胚芽がとらえた〈生〉の現実:『園遊会』

第五章 下向きの力の働きが強いところでの性がからんだ関係のかたちと「三の法則」:「おお、オスカー」~『ほのお』~『幸せの極み』

第六章 生む、生まれることの残酷へのまなざしと法則的なあがないへの感受性:『ドイツの療養宿で』

第七章 男と女の分かれ道、女の戦いと、男と女のゲシュタルト:『振り子の揺れ』~『子供っぽいけどとても自然なこと』~『ディル入りピクルス』

第八章 D・H・ローレンスらとの実験とエニアグラムにあらわれた四人の友愛と対立の構図:『恋する女たち』(ローレンス)

◆男と女と魂の問題

◆D・H・ローレンスらとの出会いと四人組でのグループワーク

◆〈神〉なき時代の男と女のカラマーゾフ的な物語

◆ローレンス『恋する女たち』のエニアグラム的な読解

第九章 いわゆる愛への幻滅と空っぽさのなかで生まれうるものへの思い:『JE NE PARLE PAS FRANCAIS
』~『心理学』~『気というもののない男』

エピローグ 人間と世界へのまなざしにおける重なり合いの妙


*大判型ペーパーバック(A4)199ページ(標準的な単行本で約2倍のページ数に相当) 本文フォント11pt、縦書き二段組。

*本書の内容をフォローするかたちで、以後順次、マンスフィールド作品集・新訳版の発行を予定。『作品集(一)カローリの思い出』には、『前奏曲』、『入江にて』、『おもちゃの家』、『園遊会』の四部作ほか全八編を収録。



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Atimoda @ Osho Tara M. C.

http://www.osho-tara.site/

Plavan @ グルジェフ&グルジェフ・ムーヴメンツ

http://gurdjieff.la.coocan.jp/

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