[SIJ: 22665] 新春・香川三豊 「 臼杵英樹さんの精神と円坐舞台」のお知らせ

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2022年 12月 10日 (土) 16:13:43 JST


皆様へ。

 

2023年の新春に

「香川三豊 臼杵英樹さんの精神と円坐舞台」を開催いたします。





今年8月の高知四万十出稽古の折に、山深い集落の農家を訪ねました。

その農家は山の斜面を切り開いた畑地に米茄子(ベイナス)を栽培しておられます。





ご主人が、傷一つない米茄子がきれいに並んだ箱を見せてくださって、

これを出荷しても農協を通すと生産者としては赤字になる。

なんとか販路を切り開けないだろうか。

と相談を受けました。





さらに、傷がついて商品にならない米茄子もいっぱい余っている、と見せてくださったたくさんの米茄子には、何かにこすったような白い細い線が数本ついていますが、我々には十分きれいで立派な米茄子に見えます。

ところがたった数本の薄く細い線がついただけでもう捨てるしかないとのこと。





ご主人の傍らには父の仕事を手伝う20代の青年、吉良哉太(きらかなた)君が生き生きとしたまなざしで我々とお父様との会話に耳を澄ませています。





農業はまったく門外漢の我々は、白い線が数本ついただけの立派な米茄子をたくさんいただいて車に積み、





「我々は大阪に帰らねばなりませんが、途中で三豊に立ち寄って、我々が心から信頼している 「さぬきこだわり市」 の臼杵さんに相談してみます」





と一路香川に向かいました。





さぬきこだわり市の事務所では、

机の上にずらっと並べた細い傷のついた米茄子から、

ひとつを両手でそっと包んで、まるで拝むように顔の前に持ち上げ、臼杵さんはじっと目を閉じておられました。





やがて眼を開いた臼杵さんは、





「この米茄子の栽培履歴を知りたいな。

どんなふうに育ったのかな。

ヘタに小さなとげがあるでしょう。

畑に植えた米茄子の間隔が狭いので、風の日には互いのとげが触れて傷になる。

小さい実を取り除いておくと風が吹いてもお互いに傷つけないんよね。」





臼杵さんの言葉を聞いていると、

高知の四万十の谷に吹き降ろす強い風に揺れて、

畑の米茄子たちが互いに触れあう光景が目に見えるようです。





「米茄子は皮が厚いから移送しやすいんやね。

だから競合が激しい。

米茄子の料理の仕方や、食べ方を工夫して消費者さんに提案するのがいいね。





まだ小さい段階で収穫したら味はどうかな・・苦味はどんなかな・・

料理店のシェフはそれを「えぐ味」として使いたいという人もいる。





廃棄処分にする傷物の米茄子を違う角度から見て価値を発見することもできる。

たとえば僕の場合やけど、ブロッコリーの小さな脇芽は栄養を逃がすのでとってしまうんだけど、

それを伊勢丹で「チビッコリー」って名前で箱に並べてみたら青々として美しいのでヒット商品になったんよ。





産直とスーパーは売り方が大事。

デパートは違う。見せ方が大事。





米茄子を漬物にしてみたことはあるのかな?

加工の可能性はどうやろね。」





「うわー。。これは我々が聞くのはもったいない、哉太君に電話しよう!」





哉太君は臼杵さんの話を聞いて、





「今までただ作るだけでそんなこと考えたこともありませんでした!」





と弾んだ声で答えています。





我々が臼杵さんの対応に謝意を述べると





「こういう熱心な農家の若者にはもっと会いたいね。

熱意があるなら必ず道は開けるから。

ここに来てくれたらいいんやけど。

そしたらもっといろんなことをお伝えすることができるんよ。





・・この米茄子二つほどもらっていいですか。

僕も料理の仕方とか考えてみます。」





我々は臼杵さんの農業や人への姿勢にふれるたびに感銘を受けます。





先月、有無ノ一坐の橋本仁美が高知四万十で開催した第二回目の「四万十人と円坐舞台」には、哉太君が元気な顔をみせてくださったそうです。





臼杵さんとは四年ほど前に四万十で開催された円坐で出会いました。

三豊の農家存続のため栗の木を栽培する方法を学ぼうと、

臼杵さんを筆頭に十数名の三豊の農家の方々と町役場の農業課の方々が四万十に来ておられました。





円坐が始まると、農家が置かれた現状を口々に訴える声。

臼杵さんはじっくりと耳を傾けた上でご自分の考えを加えて語り直し農業課の方々と対峙します。





臼杵さんは「さぬきこだわり市」で生産者と消費者をつなぐ仕事をしながら、農業士として三豊の農家の相談に乗り、農業の存続のために何をすればいいか日夜考えておられます。





農業課の方が「皆さんのお気持ちを受けて会議で検討します」と応答すると、語気鋭く臼杵さんが言葉を発します。





「会議会議ってまた時間ばかり過ぎていく。

僕らの状況は急いでるんよ。

この円坐のように直接話をしたらいいでしょう。

うちへ来たらいい。鍵はいつでも開いてるよ」





熱い応酬の円坐が終わって、食事の時に少しだけご挨拶したのがご縁の始まりでした。





その後、三豊でも円坐が開催されました。

臼杵さんは円坐を町役場に紹介するために

「やってみるのが早い」

と、その場で町長たちに丸く坐ってもらい、「役場円坐」を試みたそうです。





 「円坐っていいよ」とニコニコする臼杵さん。





臼杵さんは僕が学んできたようなカウンセリングも心理グループもまったく知りません。

三豊の地で畑を耕し、日本で最初の「生産者の顔が見える」産直市場を立ち上げ、農家の方々の直面している問題に身を挺して取り組んできただけです。





「自分の全身全霊」で物事に、そして他者や人生に関わるということを、我々は臼杵さんから教わっています。





「自分の全身全霊」の中には家族や友人、その土地と風土が丸ごと入っています。

その土地で生きている人々や、人々を生かしている田畑、

そして生きとし生けるものすべてを包む大きな精神に

直接つながって仕事をしているのが臼杵英樹という人であると思います。





今回は新春の記念に「臼杵英樹さんの精神と円坐舞台」という幟を掲げて円坐舞台を立ち上げ、讃岐の国三豊の地にて坐衆の方々の精神を、そして人生を辿り合いたいと思います。

臼杵さんと「さぬきこだわり市」もぜひご紹介したいと思っています。





「名残りの出稽古ドサ廻り」と言う形で、こちらから地方に出向いて円坐舞台を立ち上げると、その土地に深く根ざして生きてきた方々に出会います。





その土地ですべきことがあるために外に出たことも無い方々が

円坐というものの本質をただちに理解されてゆく姿に僕はたびたび驚いてきました。





日本という国の「地方」や「地域」に根を張って生き抜いている方々と円坐に坐る喜び。





それは都会で何不自由なく育った僕自身が、

「地方」や「田舎」の、地に足を着けて大地の深さと温かさを体現している人々に、魂を丸ごと救われて往く喜びでもあります。





            有無ノ一坐 橋本久仁彦 (Sw.Deva Premi)









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開催日時 2023年1月8日13時15分〜1月9日16時 

円坐守人 橋本久仁彦 松岡弘子 橋本仁美 

参加費用 36,000円 ( 食事代や温泉入浴料等 実費別途 ) 

募集定員 七名

円坐会場 香川県 さいた たからだの里 宿泊入浴 たからだの里・環の湯 (温泉)

申し込み enzabutai @ bca.bai.ne.jp 橋本久仁彦 主催 有無ノ一坐













 



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